時のなかの赤い糸
武士よりもっと武士らしく
「歳、ちょっとこれはきつすぎやしないかい?」
「このくらいは必要だよ近藤さん」
土方が近藤の部屋で巻物を見せていた。
「俺達はもとからの武士だった訳じゃねえ。
だから壬生なんてバカにされて、
やっと武士と認められたんだ。
それなら、
武士よりもっと武士らしくしよう」
土方の説得で近藤はゆっくり頷いた。
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「とりゃっ」
―――――――キーン…
稽古場に今までにない緊張感が溢れていた。
新撰組の隊員が刀の稽古をしているのだが、真ん中に土方が座り、睨むように皆の様子を見ていた。
「でさぁ」
「あははっ」
土方が私語をしていた隊員のもとに歩きだすと、刀を向けた。
「……!?」
一同が静まりかえるなか、土方がゆっくり口を開いた。
「次は斬る」
そう低い声で言うと、隊員はその場に土下座して謝った。