時のなかの赤い糸
「……あはは。
嫌やなぁ永倉はん、こうなることはわかってたんちゃうん?
綾野を好きなのは永倉はんだけやないんやで?
わかってたくせに」
山崎はチラッと藤堂を見てから永倉に視線をうつした。
「山崎てめぇ……」
山崎は、確実に今、永倉に喧嘩をうったのだ。
「嫌なら綾野に謝ってこい」
命令口調の山崎は、しょぼくれた永倉を見て吹き出し笑いをした。
(そんなに好きなんかいな……)
山崎は沢庵をポリポリ食べて藤堂を起きるように叩いた。
「わかった。謝る……
だから手ぇだすな綾野には」
永倉が真剣に山崎を見つめるものだから、仕掛けた山崎はブハッと笑いだした。
「あははははっ!!
永倉はんは本間に綾野はん好きやねんな。
冗談や冗談。まぁ俺以外は知らんけど
永倉はんに本年言わせるためのなっ」
山崎はおかしくて笑いが止まらなかった。
新撰組の狐。
いつしか山崎はそんな風に呼ばれているようになったとか…