時のなかの赤い糸
これでいいのか?
ずっとボーと久しくみた部屋の風景を眺めていたら扉から母が顔をのぞかせた。
「静かにしなさい!!」
「ご、ごめんなさい」
おかしい。
ずっと遥は幕末にいたのに、あのお母さんの普通な態度は何?
テレビをつければニュースの日付のところは全くあの日と同じだった。
「戻って…来たんだ……」
急に胸が締め付けられるように傷んだ。
もう、永倉さんたちに会えないのかもしれない…
いいや、会うことが奇跡なのに……
遥は別れも告げないまま元の世界へ帰って来てしまったのだ。
涙が遥の頬をポロポロとつたい流れていった。
「な……がく…ら…さん……」