~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ-
 妖怪、と一口に言うと、あまりにも数が多すぎる。怪物として考えるなら、洋の東西に広く分布するためすべてを知るものはいないという。
 西洋で言うならば有名な妖怪はドラキュラだったり、フランケンシュタインだったり。東洋の妖怪は、中国の西遊記で有名な猪八戒(チョハッカイ)や、中国の狼男といわれるイエレンなど。日本には河童、天狗、猫又などがいる。

 夕凪 茜はその中の妖孤だという。

 妖孤――日本各地に残る昔話において、狸と並び、人や他の動物に変身して人を化かす妖怪。
 妖孤には善孤と悪孤がいるが、茜はおそらく善孤だろうというのがカーキーの判断だ。稲荷神社に祀られているのも善孤の一種である。

「わたし……半妖なんです……」

 重々しく、茜は答えた。

「半妖? そういえば藍奈もそんなこと言ってたな」

「今じゃ差別用語だな。で、続けて」

 カーキーが促すと、茜は小さく頷き、続けた。

 母親は人間、父親は妖孤。半妖として生まれて、人間からも妖怪からも追われ、いなくなった父親の分まで母親に隠されるように育てられ、つい最近、その頼りにしていた母親が死んでしまったので、一人、自立して生活しようとしたところにここの学園の学園長が入学を誘ってくれたという。


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