~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ-
「時を見る眼……『予知眼』……」

 麟紅は、何気なく右目を抑えた。
 自分の目にそんな力があるとは知らなかった。
 知れるわけもない。魔法自体を知らなかったのだから。

「兄さんに魔力がなくて、魔法使いとしての素質がないってわかったとき、正直わたし、ホッとしたんです」

 寂しそうに、面目なさそうに、小さく紫音は呟いた。

「魔法が使えないのでしたら、父さまや母さまのようにどこかへ行ってしまうこともないって」

 何も言えない。麟紅は何も言えなかった。
 それから紫音は顔を上げ、いつもの明るい口調を取り戻した。

「でも! 兄さんがそんな凄い力を持っているのでしたら、わたし、すっごい嬉しいです!」

「紫音……」

「いい妹さんだな」

 カーキーがさもくすぐったそうに笑った。
 それから腕を頭の後ろに回し、大きくため息をついた。

「あ~あ、俺も妹欲しかったな~。それもとびきりかわいい子でさ」

「欲望がでかすぎるっつ~の」

 ハハハと、大きくカーキーは笑った。
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