~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ-
「わかったわよ……」

 相変わらずのむすっとした表情で、藍奈はサラサラと記名した。
 書き終わった書類を一通り眺めたあと、カーキーはそれを他の書類と混ぜる。

「よし、これでオッケーだな。四人しかいなかったのが一気に五人も増えたな。オーケーオーケー」

 カーキーは立ち上がり、書類を棚のファイルに挟んだ。それでいいのか?と麟紅は思った。

「ずいぶんと無用心だな。個人情報保護法わかってんのか?」

「大丈夫だ、その点に抜かりはねぇ。それと」

 カーキーは人差し指を立てて、ずいっと麟紅に顔を近づけた。(「顔が近い」)

「殺される~とか心配しなくていいぞ。なんせ俺らは無名だ。知ってるのも学園長とほんの一部の魔法使いぐらいだからな。さ、オメェらもう帰んな」

 しっしっと手を払って追い立てる。が、麟紅の記憶力を馬鹿にしてはならない。

「おい、テメェさっきつーか保健室で「俺らを知らないのかぁ~(上がり口調)」とか言ってなかったか……?」

「…………」

「とんだ口ばっかりの自慢男じゃよ」

 黙ってしまったカーキーの代わりは朽葉だった。事務所にカーキー発の情けない雰囲気が一気に漂う。
 ここにいては魂まで情けないオーラに侵食されるな、と思った麟紅は、ぐずる紫音の手を引いてさっさと帰ることにした。その際茜と藍奈、朽葉も一緒に出てきた。

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