~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ-
「ねぇ、兄さん」

 くるだろうな、と麟紅は予想はしていた。予想していたから、その何気ない口調から紫音の気を察することも難しくはなかった。
 だから、麟紅も同じく何気ない素振りで応答する。

「なんだ?」

「どうして……」

 言いたいことはだいたい予想できている。

「どうして魔法なんていきなり言われて……そんなにすんなり受け入れてるんですか?」

 まさに予想通りの問いだった。
 紫音がそんなことを思う理由は自分が一番よく知っている。
 オカルト、非科学的なものは絶対的に信じない。宇宙人や超能力者の存在を信じることも一切ない。まして魔法使いなど言語道断。
 そんな麟紅という男が、たった一日で、魔法を受け入れ、認めたのだ。

「普通なら……信じませんよね……」

「俺が普通なら、の話だな」

 麟紅は紫音に一切顔を向けないまま話を続けた。後ろから、紫音の髪を梳く音が聞こえる。

「まず簡単なところから言うと、お前が魔女だから、かな」

 音が止まった。聞こえているのは、テレビから流れる下手なコントと、センスのない観客の笑い声だけだった。
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