~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ-
「そういえば、常磐が言ってたよな、血がなんとかって」

「……うん」

 紫音の声はどことなく寂しそうに聞こえる。

「お前が魔女なら、親父らも魔法使いなのか?」

「……うん」

 先ほどとほとんど変わらない声色だった。
 麟紅が紫音の方をちらりと向くと、声と同じ、寂しそうな顔の紫音が見えた。その口が、ゆっくりと言葉をつむぐ。

「お父さんは……有名な黒魔術師だったの……」

 天才黒魔術師、御冠神楽の名は、全世界の魔法使いに知れ渡っていた、文字通り最強の魔法使いだった。【絶対的義と法の教会(アブソリュート)】、通称【教会】。すべての魔法使いを管轄し、義と、法に則(のっと)り裁く、魔法界の司法行政機関である。天才黒魔術師はその【教会】で『法を司る裁きの魔法使い』、として多大なる信頼を寄せていた。
 母親は、魔女。イギリスの、<ウェールズ魔法学院>と呼ばれる魔法使いの名門校のトップの魔女だった。彼女の美貌と能力には、多くの魔法使いが魅かれた。
 二人は【教会】で出会い、そして恋に落ち、日本という極東の地にて二人の子をなした。




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