~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ-
「お父さんは、わたしが生まれてすぐ、どこかへ行ってしまったの……」
「だからオフクロはたった一人で俺らを育ててたのか……仕事の都合、てしか聞かされてねぇもんな」
そこからは自分もわかる。母親は、自分が高校に上がった時に失踪。妹と二人だけの生活になってしまった。
それだけ聞いてから、麟紅はまたテレビのほうへ体を向けた。だから、今の紫音の表情はわからない。
「ごめんなさい、兄さん……。兄さんは魔法が使えないって思ってたから、魔法のことが話せなかったの」
「謝る必要はねぇよ。それが正しいことだろうし、俺も正直知りたくなかった……」
そう言って、自分の右目に手を当てた。今まで瞳の色もわからないくらいに細く閉じた眼。ただの、単なる糸目と信じてきた眼。それが、今日一日の出来事で一変した。
「一番信じたくないものが、未来が見れるとかいう大層なもんが、自分の眼ん玉ん中に入ってたんだ。信じるなって言う方が無茶だっつーの」
思わず皮肉っぽく笑っていた。ただ、後ろから紫音が寂しそうに「兄さん……」と言った声だけが、妙に頭の中に響いた。
だから、次に自分が口にした言葉も、特に意味を乗せたわけでもないのに、妙に頭に残っていた。
「安心しろ。俺も難しいこと考えんのは嫌いなんだ。こんなもんがあろうがなかろうが変わりはないさ」
「だからオフクロはたった一人で俺らを育ててたのか……仕事の都合、てしか聞かされてねぇもんな」
そこからは自分もわかる。母親は、自分が高校に上がった時に失踪。妹と二人だけの生活になってしまった。
それだけ聞いてから、麟紅はまたテレビのほうへ体を向けた。だから、今の紫音の表情はわからない。
「ごめんなさい、兄さん……。兄さんは魔法が使えないって思ってたから、魔法のことが話せなかったの」
「謝る必要はねぇよ。それが正しいことだろうし、俺も正直知りたくなかった……」
そう言って、自分の右目に手を当てた。今まで瞳の色もわからないくらいに細く閉じた眼。ただの、単なる糸目と信じてきた眼。それが、今日一日の出来事で一変した。
「一番信じたくないものが、未来が見れるとかいう大層なもんが、自分の眼ん玉ん中に入ってたんだ。信じるなって言う方が無茶だっつーの」
思わず皮肉っぽく笑っていた。ただ、後ろから紫音が寂しそうに「兄さん……」と言った声だけが、妙に頭の中に響いた。
だから、次に自分が口にした言葉も、特に意味を乗せたわけでもないのに、妙に頭に残っていた。
「安心しろ。俺も難しいこと考えんのは嫌いなんだ。こんなもんがあろうがなかろうが変わりはないさ」