~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ-
「な! 何だ!?」

 思わず煽烙は顔を覆った。
 薄暗かったホールが、突然の爆発のような衝撃波により一瞬にして朱に染まった。

 ホール全体が、燃え盛る炎を上げていた。

「いったい……何が……?」

 煽烙が顔を上げると、そこに一人の少年が立っていた。

 黄水晶(シトリンカラー)に輝く右目をぎらつかせ、右手で左の目を押さえている。

「そんなに……そんなにこの“眼”が見たいか……」

 普段の少年の声よりもさらに低い、重く深く強い声が響いた。

「りん……く……くん……?」

 茜の小さな声が響いた。

 しかし、少年は振り向かない。

「お……お前はいったい……」

 煽烙の顔が、驚愕に揺れた。

「そんなに見たいのなら……見せてやろう……」

 ゆっくりと、目を押さえていた右手を下ろした。

「……ま……まさか……お前は……」

 煽烙の足が、自然と後ろに下がった。

「地獄の王たる我が“眼”を……見るがいい!!」

 ふさがれていた左眼が、完全に開かれた。

 その“眼”は紅に燃えていた。

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