~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ-
「ぅ……ぅう!!」

 口を押さえ、茜は下を向いた。
 藍奈も、声を出すことが出来なかった。
 煽烙の先をなくした腕の付け根は勢いよく血を吹いた。

「なるほど、燃えるものさえなければ、炎は燃えない。しかし、それでは貴様はもう戦えまい」

 あくまで冷静な帝の竜に対し、煽烙は笑って答える。

「それはお互い様でしょう? あなたのその借り物の体、悲鳴を上げてますよ」

 確かに、帝の竜の体、麟紅の体はもうボロボロだった。獄竜眼の周りも神経が筋を立てている。

「わかっていたか……」

「えぇ」

 煽烙の口の端がつり上がる。

「どうです? ここは一時休戦ということで、逃がしてもらえませんかね?」

 帝の竜は、しばし無言のまま煽烙を見つめた。

「よかろう」

 そう言い放った瞬間、帝の竜の左眼が閉じられ、少年はその場に倒れこんだ。
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