空っぽの私に色を描いた君
ついに、私のことさえも分からなくなった

私だけじゃなく、叔父のことも、仕事関係の人のことも、なにもかも

昼はベッドで寝たきりとなってしまった叔母

家事の仕方さえもとうに忘れ、代わりに私が引き受けた

これは私のせいだから

私が近くにいたせいで、また大切な人を酷い目に合わせてしまた

この時、私は5年生だった


叔母が若年性アルツハイマーになったことは、親しい友達に伝えた

小学2年生の時の学校ではなく、叔母の家に引越しする際に転校した

友達はそのことを考慮してか、私の家にはあまり遊びに来なくなった

元々私の家ではないので招くことは少なかったが、その数少ない訪問でさえも無くなった

私は家事や介護に忙しくなり、学校が終わるとすぐに帰る日々

そのせいで勉強ができなかったわけでもなく、少しずつ徹夜しながら勉強を続けた

厳しい財源の中、叔父の気遣いで買ってもらったスマホで友達に連絡し、勉強について質問することもあった

友達はいつでも優しく受け入れてくれた

でも、深く関わりすぎたんだ

その友達が、私とのメールに夢中になるあまり、何かの拍子で車道に飛び出し、通りかかった自転車に轢かれた

車じゃなかったからこそいいものの、自転車にということで要入院となった

私がメールをしなければ

私が頼らなければ

お見舞いに行った際、私は謝った

土下座をしようとして止められたことを、今でも覚えている

友達は軽く笑って、大丈夫、とだけ言った

でも、痛々しく頭に巻かれた包帯と、手に添えられたギプスが、全てを物語っていた
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