あなたの名前は忘れたけれど。
家に帰るとまず洗濯をする。

シンクに溜めた洗い物をする。


そして仕事着を脱ぎ捨て、お風呂に入る。


お風呂から上がって、ジャージに着替える。


歩いて5分のコンビニへ向かう。

そういえば、泣きながらコンビニに行った事を思い出す。なんで泣いてたんだっけ。


理由は思い出せないけれど、あの時はなんでか誰かに優しくしたくなって。確か、店員さんに声をかけた気がする。


誰でも良かったから。


そんな事を思い出し、今日は何を食べようかな、なんて考えながら並んでいる代わり映えのしないコーナーを眺める。


ひとつ手にとり、レジへ向かった。


愛想のない店員が会計をする。

小銭が無いので万札を出した。少し嫌な顔をされた。


そういえば私が声をかけたあの子はそんな顔しなかったなぁ、って思いながら渡された小銭を財布に入れる瞬間、滑って足元に転がった。


私は慌てて拾おうとしてしゃがみこむ。

後ろに並んでいたスーツの男性が手伝ってくれた。


店員さんの態度に少し嫌な気持ちになったけど、スーツの男性の優しさに少し救われた。

私は歩いて家に帰った。
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