あなたの名前は忘れたけれど。
徐々に人間味を取り戻して行く彼。親しみを込めて、俺は下の名前で彼を呼ぶ。
勇気。
「俺ですね、一人っ子で、兄弟のいる友達からはよく羨ましがられました。
けどね、俺、1人だったんですよ。本当に」
なぁ、勇気。
「親父が見せてくれたのは、背中だけでした。働く男の生き様!みたいな。
俺はどの家庭もそれが普通だと思ってたんです。
可愛がられた記憶が無いんですけどね。
母親は、女でした。
どこまでも女でした。
男にいい顔をして、父の居ない昼間に、平気で知らない男を家にあげるくらいに」
なぁ、誰がお前を責められる?
勇気。
「俺ですね、一人っ子で、兄弟のいる友達からはよく羨ましがられました。
けどね、俺、1人だったんですよ。本当に」
なぁ、勇気。
「親父が見せてくれたのは、背中だけでした。働く男の生き様!みたいな。
俺はどの家庭もそれが普通だと思ってたんです。
可愛がられた記憶が無いんですけどね。
母親は、女でした。
どこまでも女でした。
男にいい顔をして、父の居ない昼間に、平気で知らない男を家にあげるくらいに」
なぁ、誰がお前を責められる?