あなたの名前は忘れたけれど。
彼女なんじゃないか?と思った。


朝いつもすれ違う彼女なんじゃないか、となんとなく思った。

仕事着も着ていなければ、お風呂上がりなのか髪が少し濡れていて、どことなく幼さが見える。


横顔しか見えなかったけれど、俺の直感が彼女だと訴えていた。


話しかけるか?

いや、待て、知らない男に話しかけられても不審者がられないか?


そんな事を考えていると、彼女が小銭をばら撒いてしまった。

彼女が申し訳なさそうに慌てて拾い上げようとしているので、俺はそれを手伝って拾い上げる。


おい、店員。ボケッと突っ立って見てんなよ。


そう思いながら。
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