あなたの名前は忘れたけれど。
親って損だよなぁ。


知らない事ばかりなんだ。


大人になったお前の事、何一つ知らないんだ。


どんな生活をしてて、どんな友達が居て、どんな音楽が好きで、休みの日は何をしてて。


好きな食べ物も、好きな服も、好きな人の事さえも。


何も知らないんだよなぁ。


「…お父さん、……」


空を見上げていると、声をかけられた。


「あぁ、君か…」

「この度は…本当に……」


葬式で、泣き崩れた俺に手を差し伸べてくれた、朝陽の彼氏。

君も、そんなに…泣いて…。


お互いに腫らした目。

詰まる言葉。
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