あなたの名前は忘れたけれど。
「…本当になぁ……」


一人じゃないって、どうやったら伝えられただろう。


不器用で、言葉足らずで、ましてや男親1人で育て上げたせいか、我慢強いお前に。


味方はたくさん居るのだと、どうやって伝えたらよかったんだろう。


いや、もっと…


「…父親として、申し訳なくなるよ……」


ポツリと零した言葉に、彼は首を横に振る。


「…朝陽はいつも言ってましたよ」


涙を溜めて、俺を見る。


「お父さんみたいに、カッコよく生きたい、って」
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