俺の女に触るな!



格好いいよ、とは言えない。言ってあげない。小さいころから喉まで出てくるけど、いつも止める。ここだけは何故か甘やかしたくない。何でだろ?



「かーちゃんに似てるって、最近、よく言われるんだよね」


「嫌なの?」


「だってさ」


「あんたのお母さん、美人じゃん。似てるってことはあんたも美形ってことじゃん、多分。何も困ることないよ」



こんな風に間接的になら誉めることができる。もしかして私、トモの本質と向き合うのが恥ずかしいのかな?



「女っぽいってことなのか?」



それはある。格好いい、の前に美しい、ってのが第一印象になるのかもしれない。



「まあ、でも、綺麗な顔の芸能人とかはある程度そういうところがあるじゃん」


「あんま、気分よくねーんだよね」



話変えるか……。面倒臭くなってきた。格好いい男子に顔のことで、大したことない顔の女子が諭すなんて、虚しくなるに決まってる。



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