私の好きなお好み焼き屋の店長は私の好みです
まだ一緒にいたい、と訴える彼に笑って手を振った。

家まで送ってもらって、ご飯をおごってもらって、心配をいっぱいかけて、それでも私は彼のことを好きと言えない。

友達からの恋愛もアリ、と親友の伊織は言った。

男女の友情なんて、多少の愛情がなきゃなりたたないし、って言った姉の意見を支えたのは伊織の双子の妹、沙織。

そうだよね、私もいつかユースケのこと彼氏として見れるようになるよね! 喜んだのは私。

私と伊織と沙織は小学校からの親友で、二人は大学に行っておらず、伊織は保育士、沙織は看護師として働いている。

仕事で忙しい二人だけれど、私が泣いているときはとんできて、私の話を聞いてくれる。持つべきものは友。私は二人のおかげで、この言葉が本当だと知ったのだ。

ユースケが去って部屋に戻ると、もう十二時を回っているというのに、私の部屋に二人がいた。

「ハロー」

「急にミサに会いたいとか伊織が言うから来ちゃった」

「おばさんが部屋で待ってればって言ってくれるから」

「あんたどこ行ってたの?」

お気に入りの赤いソファに並んで座る二人が、口々に話しかけてくれる。私のお母さんが寝るのは十時前だ。

日付が変わっても待ち続けてくれた二人に、私は思い切り抱きついた。

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