私の好きなお好み焼き屋の店長は私の好みです

「もしもし？」

私は声を出さなかった。

時々授業でも考えること。声を出さず息を潜めていれば、指名される確立は抜群に少なくなる。

でも多くの教授は名簿を持っていて、それを見ながら名前を呼ぶ。返事をしなければ欠席扱いとなってしまうので、生徒は仕方なく大きな声で「はい」と言い、次に「判りません」と言う。

彼からの電話は、いつもそんな気分だった。

彼は名簿代わりに私の電話番号を使い、私はボタンを押して彼に「はい」と言う。返事をしなければ欠席扱いだが、彼は私の彼氏という立場を使って欠席を許さない。

「もしもし？」

声がいぶかしむような低い声に変わった。

私は小さく声を出す。

「……はい」