私の好きなお好み焼き屋の店長は私の好みです
「なんだ、どうしたかと思って心配したよ。面接終わった?」

「うん、たった今終わった。すごいタイミング」

「へへ、俺、ミサのことなら何でも判ってるし」

こういう彼の言葉に、私は笑って返すことができなくなった。いつからだっただろうか?

「もしもし?」

「……うん」

「今日、他に予定ないんだろ。迎えに行くからメシでも行こう」

「うん、良いね」

「家帰ったらメールして。楽しみにしてるから」

そう言って彼は電話を切った。

気持ちが下へ下へ沈んでいく。きっと私の表情は、今の空より暗いだろう。

彼は私を好きすぎて、私は彼を重荷に感じている。

言葉にするとこんなに簡単で、聞く人が聞けば「何こいつ、自慢?」と思う言葉。
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