私の好きなお好み焼き屋の店長は私の好みです
デート
思ったとおりのデートコース。
ユースケは私をまずレストランに連れて来た。ファミリーレストランなんかじゃなく、郊外にある高級レストラン。二人の間にはキャンドルが立てられ、ゆったりとしたピアノ音楽が流れる。
目の前の彼は肉を口に運ぶ私を見て、にこにこと笑っていて、私はその笑みにイラついた。
「なに?」
「ミサ、久しぶりに会ったから、嬉しくて」
「久しぶりって、三日会わなかっただけじゃん?」
「頭では判ってるんだけど、会いたい会いたいと思ってると長く感じるんだよねぇ」
「……ふーーーん」
車の中でも幾度となく繰り返された会話。うんざりする。
私はワインに手を伸ばしたが、瞬間飲む気が失せて手を引っ込める。
その手を握り、膝に置いた。手は自分のものと思えないほど冷たくなっていた。
これじゃダメだよ。
私は涙が出そうになるのを堪えた。
「え、なに? 大丈夫?」
「大丈夫……」
彼が私の表情を見て驚いて声をかける。
私は既に、溢れてくる涙を止めることが出来なかった。
「どうしたの? 何かあった? あ、フレンチ嫌だった?」
「違うの」
ユースケは盛んに明るい声を出し、私の前でおろおろし始めた。
「違うの」
もう一度繰り返し、鞄からハンカチを出して目元を押さえる。
「大丈夫? 何か食べたいものあったら言って?」
何でこんな優しい人が、私の彼氏なんだろう。何で私はこの人で満足できないんだろう。好きなのに、好きなはずなのに、彼の嫌なところばかり探している自分がいる。
ユースケは私をまずレストランに連れて来た。ファミリーレストランなんかじゃなく、郊外にある高級レストラン。二人の間にはキャンドルが立てられ、ゆったりとしたピアノ音楽が流れる。
目の前の彼は肉を口に運ぶ私を見て、にこにこと笑っていて、私はその笑みにイラついた。
「なに?」
「ミサ、久しぶりに会ったから、嬉しくて」
「久しぶりって、三日会わなかっただけじゃん?」
「頭では判ってるんだけど、会いたい会いたいと思ってると長く感じるんだよねぇ」
「……ふーーーん」
車の中でも幾度となく繰り返された会話。うんざりする。
私はワインに手を伸ばしたが、瞬間飲む気が失せて手を引っ込める。
その手を握り、膝に置いた。手は自分のものと思えないほど冷たくなっていた。
これじゃダメだよ。
私は涙が出そうになるのを堪えた。
「え、なに? 大丈夫?」
「大丈夫……」
彼が私の表情を見て驚いて声をかける。
私は既に、溢れてくる涙を止めることが出来なかった。
「どうしたの? 何かあった? あ、フレンチ嫌だった?」
「違うの」
ユースケは盛んに明るい声を出し、私の前でおろおろし始めた。
「違うの」
もう一度繰り返し、鞄からハンカチを出して目元を押さえる。
「大丈夫? 何か食べたいものあったら言って?」
何でこんな優しい人が、私の彼氏なんだろう。何で私はこの人で満足できないんだろう。好きなのに、好きなはずなのに、彼の嫌なところばかり探している自分がいる。