キンダーガーテン四   ~私の居場所に~
「ただいま。」

「みんないるか?」

離婚して……夫婦ではなくなった二人だけど……

ここに入ると

お父さん、お母さんの顔になる。

「………………おかえりぃ~」

「ほらっ、もう泣いてる。」

「お姉ちゃんには無理だって~」

尋ちゃんと先生にからかわれながら、リビングに進む。

ソファーもカーペットもなくなった我が家。

先生の家から持ってきた小さなテーブルに、ペットボトルを置く。

「スッゴい貧しい家族みたい。」

ケラケラ笑う尋ちゃん。

ホントに…………笑える。

クスクス笑う唯達を横目に、正座して真面目な顔の先生と和也さん。

「「あの。」」

重なる二人の声に

プッ!っと吹き出しちゃった。

…………だって~

二人同時に『お嬢さんを下さい』だよ。

睨む先生を無視して

「お父さん、お母さん。
私と尋ちゃんは、新しい家庭を持つことにしました。
初めの計画と違って、随分前倒しになっちゃったけど………
これで良かったって思ってるの。
先生と一緒に幸せになるね。」

「尋も………和君と結婚します。
まだ、未成年で大学もあるから………直ぐに孫は見せれないけど……
出来たら会いに来てね。
ここに里帰り出来ないから、お姉ちゃんと私の新居に
招待してあげる。」

二人の報告に、涙を流すお父さん達。

私達が親子であることに変わりはないんだなぁって思う。

尋ちゃんが言ったみたいになれるのが理想だけど………

例え、今日を最期に会えなくなっても………

明日に向かって、進めそうだよ。
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