キンダーガーテン四   ~私の居場所に~
お弁当を食べていたら……

いつものジーンズにパーカーのカジュアルな服から

スーツに着替えた先生が入って来た。

手には花束。

唯の席まで来ると、膝をついて王子様ポーズで

「伊藤唯さん、僕と結婚して下さい。」と言い

花束と先日とは違うオモチャの指輪が

これまた、オモチャのお姫様仕様のケースに入れて

差し出された。

周りの女の子達は、キャッキャとはしゃいで

「本物の王子様みたい。」

「スゴい!!」

「唯先生、いいなぁ」

子供たちの夢を形にしてあげた先生にクスクス笑うと

「返事は?」と

以外に真剣な顔で聞かれた。

「えっ?
はい…………お願いします。」

唯の答えに

「ヤッター!」

「唯先生、おめでとう。」

「先生もドレス着れば良かったね。」って。

小さな指輪は、唯の薬指には入らないから小指に。

「見せて見せて。」

「わぁ!キラキラ。」

「ダイヤモンドがスッゴく大きい。」

先生が

「ヨシヨシ。
これで保護者の耳に『悠人先生がスッゴく大きいダイヤモンドを贈った』と
入るはずだ!」って笑って

「それじゃ、いっぱいご飯を食べて唯先生の言うことを聞いてね!」と

子供たちに手を振って、王子さまは退散して行った。

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