キンダーガーテン四   ~私の居場所に~
「適当に座ってて下さい。」

先生に伝えて

手を繋いだまま、キッチンに連れて行かれる。

コーヒーを用意する間もずっと…………手を離してくれない。

……………………海晴ちゃん、可愛い。

いつもは、しっかり者の海晴ちゃんが甘えてる。

もしかしたら……………

唯の気持ちが伝わった?

唯にココアを入れて手渡すと

コーヒーを持って先生のところに戻る。

手を握る海晴ちゃんをチラリと目で確認して

ニッコリする先生。

もう、大丈夫だよね。

唯の心の問いかけに、頷いてくれた。

大丈夫!

安心して話せる。

3人でテーブルを囲んですぐ、もう一度謝った。

「痛かったよね?
ごめんね。」

擦る私の手に、海晴ちゃんの少し冷たい手が重なる。

「海晴ちゃん……………。
大好きだからね。
唯……………海晴ちゃんが大好きだよ。
大事で…………大切で……。
だから、一人で苦しまないで。
話さなくても良いの。
唯が辛い時誰より側にいてくれて……………嬉しかった。
今度は…………………唯が側にいる。
だから………………いっぱい泣いて。」

そう言うと、ワァンワァンと声をあげて泣き始めた海晴ちゃん。

抱きしめてトントン背中を叩いていると

小さな子供のように感じた。

いっぱい、いっぱい貯めてたんだね。
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