カタヲモイ、解消シマス。
「あなたは、食べないんですか」
「やめてよ。そんな甘ったるいの……」
「ひとくちどうです?」
「……胸焼けするだろうし。見ているだけで吐き気がするよ」
『イズモくん』
あの呼び方をされることは、もうないんだろうね。
「そんなこと言わずに。さあ」
皿を持って隣にやってくる。
「え、なに。ウザ」
「あーん」
フォークには、一口分に切られたパンケーキが刺され、たっぷりと生クリームが乗せられている。
「殺す気? 食うわけないでしょ。そんなモンスターみたいなの」
「そうか。これは、イズモくんにとってモンスターなんだね」
「ああ。だから、はやくどけて……」
――え?
「イズモくんの見える世界って。わたしと全然違うんだね」
胸がざわつき始める。
「いくら考えても理解できないや。あなたが、あの夜。なにをしていたのか」
「……なに、言ってるの」
「あなたがなにを抱えているのか」
記憶が、戻った?
いや、でも、そんなわけない。
これまでそんなやつ、一人もいなかった。
僕に操られたものは死ぬまでそのままのはず。