カタヲモイ、解消シマス。


「それでも。勝手に忘れさせようなんてしないで」

「青葉?」

「イズモくん、わたしに隠し事があったんだね。わたしもイズモくんに隠してたことがあるよ」

「……なに」

「相手からなにかを望まれたとき。それがわたしの意思に反するものだった場合、跳ね返す力」


ねえ、青葉。

君はどこまで理解不能な生き物なの。


「だから、リョウから求められたときも、抵抗できた。おかしいと思わない? その気になった男をわたしが拒絶できるなんて」

「君は人間ではないの?」

「人間だよ。だけど。人間にも、特殊な力を備えた子はいる」

「じゃあ。僕が助けなくても君は逃げ切れたんだ」

「それは違う。一人に使えるのは、一度だけ。だから、あのときイズモくんが来てくれなかったらわたし……」

「覚えているのか?」

「ううん。覚えていないよ。細かいところは全然思い出せない。だけどマスターさんが、なにがあったか簡単に教えてくれた」

< 101 / 110 >

この作品をシェア

pagetop