カタヲモイ、解消シマス。
俯いて黙り込んだ青葉が、しばらくして顔をあげる。
「本当にアドバイス通りのことしたら、彼と結ばれるの?」
「おっと。僕への注文は『女の子として見られたい』だったはずじゃ?」
「彼女になる方法は、教えてくれないんだ」
これだから、困る。
「サービス相応の対価を支払うなら教えてあげるよ」
もっと社会のルール学んでから来て欲しいねえ。
「いくら払えばいいの」
「十万」
「っ、ふざけないで。三万でも厳しいのに」
「ご来店ありがとうございました。そのドリンク代は気にしなくていいのでどうぞ扉からお帰りください」
「わかった。なんとかする」
「へえ。期待しないで待ってるよ」
「あなたって意地悪だね。……かわいい顔してるのに」
この顔のせいで舐められやすいんだよね。
意地悪なのは否定しない。
「また来るよ」
「そう。頑張って」
彼女が店を出たあと、マスターがグラスをさげにやってきた。
「随分と、おまけしてあげましたね」
「そんな僕の好意に微塵も気づいていなかったけどね」
恋する女の子って、なんであんなに好きな相手のことしか考えられなくなるのかな。
まあ、だからこそ僕の商売は成り立つんだけど。
夢中になっていればなっているほど
僕に頼ることになるからね。
「ぼっちゃんの好みだったのですか?」
「まさか。あの子がギリギリ用意できる額に設定しただけさ」
「叶えてあげたかったんですね」
「まーね。面白いものが見れそうだったし」