カタヲモイ、解消シマス。
「もう三百万、請求してやろうかな」
「はは。誘われて胸焼けでもしたか?」
マスターは人脈がとんでもなく広ければ、情報通で。
勘もビックリするくらい鋭い。
「そうだ。あげたお金、このお店の改装にあててよ。センスは悪くないけど、ところどころボロいし」
「それがいいんだよバーカ」
人間を操ることができる悪魔だと知った上で
僕を目の前にしてこんな態度をとる変人。
「なにに使ってるの」
君には、宝くじなんかよりずっとすごい額のお金を寄贈してると思うけど。
「ナイショ」
「……あっそ」
「だけど森川、人間的には問題あるが見た目は申し分ないだろ。ちょっと遊んでやろうとか思わなかった?」
「冗談じゃない。森川に食われるくらいならマスターに食われたいね」
「可愛いこと言うじゃねえか。こっち来いよ」
「やだ」
「はは。それで、あの少女の収穫は?」
「卒業式かな」
それまで、すくすくと育つといいよ。
あまい夢でも、みていればいい。
「つーことは、一年以上先だな。腹が減るんじゃないか」
「心配には及ばないよ。生きていける最低限のエネルギーなら、そのへんで拾えるし。僕が食べたいのは美味しいもので。そんなに簡単に手に入るとも思っていない」