カタヲモイ、解消シマス。


あーあ。

芋づる式に金とれそうな客だったのに。


ほんと余計なことしてくれたねえ。


自分の力で幸せを手に入れた子を絶望させる趣味はないし。


理央のことはもう忘れよう。


新しいターゲット見つけなきゃ。

欲にかられて、悪魔の手を借りるような。


くだらない人間を陥れてやろう。


「イズモくんって」

「なに」

「……スマホ持ってるの?」

「だったら」

「ラインとか、するひと?」

「ああもう回りくどい。素直に僕の連絡先知りたいって言えば」

「連絡先、教えて!」

「いやだ」

「ええっ……」


「彼は持ってないよ」マスターの言葉に折れかけた心を完全復活させる青葉。


「そうなんですか?……なんだ。わたしに教えたくないわけじゃないのか」


そう言うと、青葉は安心したように微笑んだ。


ちょっとくらい落ち込ませておけばいいものを。

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