カタヲモイ、解消シマス。


なあ、青葉。

君はどこまで純真なんだろうね。


「今夜は荒れるようですよ」


マスターがテレビ画面をのぞいてそんなことを言っている。


「青葉さん。もう帰った方がいい。雨風が強まる前に」

「……はい」

「イズモくん。送ってあげなさい」

「なんで僕が」

「だ、大丈夫です。一人で帰れるので。ご馳走さまでした!……いつも、ありがとうございます」

「いえいえ。またいつでもいらして下さいね」


泣きそうな顔をした青葉が

無理矢理作った笑顔をマスターに向けて挨拶をしたあと


店から逃げるように出て行った。


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