カタヲモイ、解消シマス。
おかしい。
この通りを抜ける手前までは、たしかに青葉の香りがしていたのに。
「……クッソ」
いくら僕の鼻が利くからといって、雨風が強まる中では正確な情報は得られない。
目の前には大通り。
ただし、悪天候で人通りは普段よりも少ない。
ここで車に乗り込んだか?
だけどタクシーを使うようには思えない。
『大丈夫かなー、青葉ちゃん。このあたり治安よくもないし。何度も来てヤバイのに顔覚えられてなきゃいいが』
マスターの言葉を思い出す。
(まさかな?)