JKのアタシが異世界転移したワケなんだけど、チートなのは相方の方でした

 自分のネームングセンスのなさを改めて実感した。
 小学生の時に飼ってた金魚の名前、三匹いてそれぞれ『金子』『金太』『金助』だったもんな……ハハハ。

「じゃあ……シリ太郎」

「…………マスターは本気で私をそう呼びたいのですか?」

 うわぁ、沈黙が痛い。
 可哀想な物でも見る様なiPh●neの視線はもっと痛い。
 こんなの、10代の女の子には荷が重過ぎるんだよ。

「う……うーん。iPh●ne、ア●プル、りんご……林檎。品種? ふじ………はッ!」

 その時、アタシの平々凡々な脳に一筋の電撃が走った。
 来た! これならイケるんじゃね? 
 これが駄目ならもう知らんわ。適当に『I次郎さん』とかにしてやる。

「お決まりになりましたか?」

「フジサキ……でどうよ?」

 ただの「フジ」だと、私の見ていた人気ゲーム実況の実況者と被って、何となく嫌だ。
 かと言って、「フジ」からの連想で「フジヤマ」なんて命名にしたら、完全に日本一の山だし、こいつをそんな崇高なイメージと共に毎回呼びたくない。
 圧倒的ネーミングセンス不足のアタシが捻りだせる「フジ」の後に来る1文字は、悲しいかな、何となく語呂と語感が良かった「サキ」だけだった。

「……」
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