JKのアタシが異世界転移したワケなんだけど、チートなのは相方の方でした

 おーい、また沈黙かい。
 早く何か言って欲しいんですけど。
 もうこの際、思いっきりけなしてくれて構わないからさ。

「多少時間がかかりましたが、それなりのネーミングセンスでございますね、マスター。ただ今、承認いたしました。私、iPh●ne 4s改めフジサキと申します。今後とも宜しくお願いいたします」

 そう言って、フジサキは深々と頭を下げたのだった。
 やったね、気に入ってくれたみたいだ。
 一瞬、白のタンクトップを来た二人組のお笑い芸人がライライ言いながら足踏みしてる光景が脳裏を過ったが、そっとしておこう。
 それにてもあのコンビ、いつの間にか消えてたよなぁ。個人的には結構好きだったんだけどな……。


「それでだけど……Hey,フジサキ。ここ何所?」

「存じ上げません」

 やっと本題に入れたぞ――って、おい! サラッと即答するなや。
 元携帯端末機なんだから検索しろよ。
 グー●ルマップとかで一発だろうが。
 こちとら、大空に投げ出されたせいで持ってたはずの鞄もどっかいったんじゃい。
 あぁ、さよなら。アタシの思い出の品々達。

「先ほどから、検索を実行しておりますが結果はすべてエラーでございます。GPSの位置情報も使い物になりません」

 フジサキは深いため息とともに首を横に振った。
 フジサキの中でGPSの機構が生きてることに驚きつつも、私は眉をしかめる。
 じゃあ何か、ここはGPSも届かないとんでもない秘境なのか?
 群馬……それとも、富士の樹海か?

「はたまた、地球上ではないのかもしれませんね」

 へぇ、地球じゃない。じゃぁ、ここはどこの森やねん! 
 冗談も休み休み言えよ。
 つまんないジョーク機能はお呼びじゃねーです。
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