JKのアタシが異世界転移したワケなんだけど、チートなのは相方の方でした
え? 巨大な生物? 何それ?
フジサキの見つめる方向を振り返ってみる。
「ねぇ、フジサキ」
「はい、何でしょうか。マスター」
「あれ、何時からいたの?」
恐る恐る、震える腕を何とか持ち上げて、強張る人差し指でその生き物を指差す。
アタシ達の背後にいたそいつ。
テレビで見た搾乳されるホルスタインより遥かにデカい、大きく裂けた口にギザギザの牙をギッチリ生やした二足歩行の見たこともない生き物。
頭上で時折ぴくぴくと動く長い耳、ふわふわでもふもふの白い体毛で、「あ、ウサギ……かもしれない」と頭が誤認識する。
しかし、アタシの知ってる兎とは大分違う。
アタシが知ってるウサギは、人間を見て『グルル』と猛獣みたいに低く唸ったり、牙やら鋭く尖った爪を鳴らしながら粘り気のある涎をダラダラ垂らしたりなんかしない。
「マスターが私のお名前を考えていらっしゃる時からすでに、物陰に潜んでいました」
「何でもっと早くに言わないんだよ! 馬鹿ッ!」