Short stories
「結衣?結衣がどうした?」
私をそっと離すと、こうちゃんは瞳を覗き込むように私を見つめる。

その瞳は、まるで本当に私の事を好きだと言ってくれているみたいで、ドキドキと心臓の音が大きく響く。

「結衣と……付き合ってるんでしょ?」
意を決して言った私の言葉の意味を、こうちゃんは「え?」と考え込むような表情を浮かべた。

「誰と誰が?」
もう一度聞き返えされ、私は言葉にしたくはない言葉をもう一度繰り返した。

「結衣がこうちゃんと付き合ってるって……」

「結衣がそう言ったのか?」
こうちゃんの表情に意味が解らず、私は不安で胸がいっぱいになる。

「まさか……そうか……」
私の背中から腕をとくと、こうちゃんはスマホを手にした。

そしておもむろに電話をかけ始めた。
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