Short stories
「お祝いしなきゃな」
自分の事のように喜んでくれるあきくんに、私も嬉しくて仕方ない。
でも素直にそれを表現できず、小さく「無理しなくていいよ」と心にもないことが口をつく。
そんな私にもあきくんは、呆れることなく真っすぐと私を見る。
「俺がお祝いしたいの。いい?美琴」
その言葉に心があたたかな物で溢れる。
ずっと忘れていた私の中の甘くて苦い感覚に、少しだけ怖くもなる。
「……ありがとう」
きゅっと唇を結んでなんとか言葉を発した私に、あきくんはニコリと微笑んだ。
「いつから仕事?それまでにはお祝いしないとな」
自分のスケジュールを確認するように、スマホを見ながら私に話しかけるあきくんから目を逸らして、気づいてしまった気持ちを悟られないように、私もスマホを操作するフリをした。
「この日は?」
無邪気に声をかけるその人に、どうしてあんな出会いをした私をこんなに構ってくれるの?
私みたいな可愛げのない女を……。
楽しい時間のはずなのに、心の中を不安な気持ちが覆っていく。
だから恋愛は……苦手だ。
そんな事を思いながら、小雨が降り始めた窓の外に視線を向けた。
自分の事のように喜んでくれるあきくんに、私も嬉しくて仕方ない。
でも素直にそれを表現できず、小さく「無理しなくていいよ」と心にもないことが口をつく。
そんな私にもあきくんは、呆れることなく真っすぐと私を見る。
「俺がお祝いしたいの。いい?美琴」
その言葉に心があたたかな物で溢れる。
ずっと忘れていた私の中の甘くて苦い感覚に、少しだけ怖くもなる。
「……ありがとう」
きゅっと唇を結んでなんとか言葉を発した私に、あきくんはニコリと微笑んだ。
「いつから仕事?それまでにはお祝いしないとな」
自分のスケジュールを確認するように、スマホを見ながら私に話しかけるあきくんから目を逸らして、気づいてしまった気持ちを悟られないように、私もスマホを操作するフリをした。
「この日は?」
無邪気に声をかけるその人に、どうしてあんな出会いをした私をこんなに構ってくれるの?
私みたいな可愛げのない女を……。
楽しい時間のはずなのに、心の中を不安な気持ちが覆っていく。
だから恋愛は……苦手だ。
そんな事を思いながら、小雨が降り始めた窓の外に視線を向けた。