Short stories
Side Akihiro

目の前で照れたように笑う彼女が、とてつもなく可愛く見える。
俺のタイプからかけ離れているはずの美琴に、俺はもうかなりやられている。

そんな事を思うも、意地を張る美琴がかわいくて、つい意地の悪い言葉が口をつく。

「なあ、美琴?お前のお祝いなんだから、好きなもの食べろよ」

「うん……」
メニューを見ながら考え込む美琴に、知らず知らず口が緩む。

「なによ?あきくん」
そんな俺に気づいたのか、少し不機嫌そうな顔をして俺を睨む美琴。

「いや。別に」
コホンと咳払いとともに、表情を作るとジッと美琴を見つめる。

美琴の祝いで選んだのは、おしゃれなイタリアンレストラン。

「何と何を悩んでるんだ?」

「え?メインをお魚か肉か……」
呟くように言った美琴に、俺は「はあ?」と声を上げた。

「そこ?」

「だって……ごめん。優柔不断で」
俯き加減でいった美琴に、俺はクスリと笑い声をあげた。

「じゃあ……」
そこまで言ったところで、後ろから「美琴?」そう呼ぶ声がした。

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