Short stories
「あきくんは、どこかのお金持ちで、かわいそうな女に同情してくれたんだっけ?」
「はあ?」
私の言葉に、完全にイラっとしたあきくんがわかったが、私はもう止まらない。
「さっきの答え言おうか?あきくんなんて、ただの花屋の店長がお似合いよ。私はそれがよかったよ。何よ急にカッコつけちゃって。お金持ちでイケメン?どこまで嫌味よ。私の事なんてどうせ暇つぶしなんでしょ!」
感情がついに爆発して私の目からは涙が零れ落ちる。
何やってるのよ……。
自己嫌悪と、こんな場所での自分の振る舞いにいたたまれず私は「ごめんなさい」それだけを言うと席を立った。
「美琴!」
後ろから呼ばれるも、私は構わず店の外へと出る。
ホテルの20階にあるレストランだったことに、気づきエレベータを待たなければいけない事に愕然とする。
支払いしてない……。
当たり前だが支払いなどいろいろあるだろうあきくんは、追いかけてこない。
そのことにホッとしたところで、後ろから引き寄せられる。
「美琴」