お前なんか×××!!!
「…仁」
「…あ?」

隣に座ったまま、テレビを見てる仁は、投げやりに返事をする。

「ホントに…ありがとう」
「素直すぎて、気持ち悪ぃ」

「うるさい、ばか」

私は仁の肩を叩く。

飲み終えたカップを持ったまま、私は立ち上がった。

「落ち着いたから、帰るね」

コップを流しに持っていこうとした。

その時だった。

片手を引っ張られ、再び仁の腕の中に。

「ちょっと、仁」
「落ち着いたとか、うそつくな」

「…ぇ」

まだ、手は少し震えていた。

仁はそれを見逃さなかった。

「…なんで気づくのかな」
「何年お前見てると思ってんだよ」

「…私のこと嫌いだしね」
「チッ!ホント可愛くねぇ。独りで、家にいるとか無理だろ?」

…つくづく私のことはお見通しな仁に、言い返す言葉が見つからない。

「仁」
「んだよ」

「あの日、あの晩、私たちってホントにエッチしたの?」

「…」

「答えて」

私は覚悟を決めた。

「…なんもねえよ。酔っぱらい襲うほど鬼畜じゃねぇわ」

私は安堵し、困ったように笑う。

「なんもしねえから、傍にいさせろ。いや、イヤ!って言っても、いるけどな」

「…しょうがないから、居させてやるよ」

互いについつい、憎まれ口。

その夜、仁は、私の部屋に来た。

お風呂に入り、寝支度を整えると、ベッドの中に。

でも、仁は、ベッドには入ってこようとはしない。

手は繋いでるのに。

「風邪ひくよ?」
「うるせぇ。さっさと寝ろ」

「寝相わるいの?」
「すこぶるいいわ!」

「仁」
「…生殺しはカンベン」

「え??」
「あぁ!もう!早く寝やがれ!かえっちまうぞ」

私は嫌だと思い、必死で目を閉じた。

…いつの間にか深い眠りについた私の頭を、仁は優しく撫でる。

「一緒に寝るとか、マジで拷問だから。理性が持たねえわ、バカ楓」

そんな言葉は、眠る私には届くはずもない。
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