お前なんか×××!!!
その日は、業務内容や、雑用をこなし、定時にあがれた。

その間中、同じ会社、同じ部署になった私と仁。

気まずい空気になりつつも、必要以上に関わってこなかった仁に、安堵した。

流石に、私たちも大人だ。4年も離れていたわけで、あの頃のような態度は、もうとってこないだろう。

「お疲れ様でした」

私は先輩方に挨拶をすると、会社を出た。

その途端、ガシッと手を掴まれた。

当然、私は驚いて相手を見上げる。

「…仁?!」
「本当に驚いたわ。4年も雲隠れしやがって」

「なっ?!」
「ま、こうやって運命の再会を果たせて嬉しいよ」

…私はちっとも嬉しくないっての!!!

「何バカなこと」
「いじめるヤツがいないと、張り合いがないだろ?」

そんなに笑顔で言うことか?

「手を!手を離しなさいよ」

イライラしながら、言う私に、相変わらず笑顔の仁が言う。

「手を離す?…離すわけないだろ?二度とな」

…そう言って、満面の笑みを浮かべた仁の顔は、悪魔の笑みにしか見えなかった。

離さない意味を知ったのは、マンションの部屋の前。


「うちまでついてきて、どうするつもり?」
「自分ちに帰って来ただけだけど?」

「…」

やっと手が、離れたと思ったら、うちの横の部屋の、ドアの鍵を、なんのためらいもなく開けた仁。


「…そこ、仁の家?」
「これから、公私とも宜しく、楓ちゃん?」

そのまま、仁は部屋の中に消えていった。
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