お前なんか×××!!!
「寺崎」「じ?!」

私はとっさに口を押さえた。

だって、仁と幼なじみなんて言えない。いや、言いたくない。関わりを持ちたくない。

コイツハ、私にとって疫病神。

「三神、先輩が外回り行くからって、探してたぞ」
「え、マジで?ゴメン、それ、頼むわ。ゴメンな、三浦さん。それは、寺崎が責任をもって!運ぶから、な?寺崎」

「お前の、頼みだからな。ほら、行けよ」
「…」

三神君は、爽やかな笑みを浮かべてその場を去った。

私は居たたまれなくて、箱を奪い返そうとする。

が。

仁はサッとそれを持ち上げてしまった。

「返してよ、それは、私が頼まれた仕事なんだから」
「三神には持たすくせに」

「…え?ナニ?」
「これは!俺が三神に頼まれたから持っていく。お前に頼まれた訳じゃねぇ。お前はこっち持て」

軽い紙袋を押し付けられ、結局、箱は仁が持っていってくれた。

「…不本意だけど。…ありがとう」

しりすぼみになる声に、仁はイラッとしたのか。

私の頭を叩いた。

「イッタイ!何すんのよ」
「チッ!可愛くねぇ」

「何よ!今に始まったことじゃないわよ」
「うるせぇ。それ返せ」

紙袋を奪い返した仁は、さっさと帰ってしまった。

「…なんなのよ、アイツは」

仏草文句を言いながら、私も持ち場に帰った。

可愛くねぇ。

それは、自分でも思う。

素直に言いたいけど、相手が仁になると無理。
< 5 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop