お前なんか×××!!!
「たまたま駅で会っただけだよ。俺はまだ仕事中だし。じゃあまたね、楓ちゃん」

「え、あ、うん、またね」

三神君は、私達とは反対方向に向かって歩いていった。

仁は私を一瞬睨んで、でも、それ以上何を言うでもなく、先に歩いていく。

私は仁に声すらかけられなくて、紙袋を握りしめつつ、数歩後ろを歩いた。

マンションに着き、お互いの部屋のドアの前。

二人はドアを見つめたまま、黙っている。

息苦しくなって、私はドアの鍵を開けると、さっさと中に入ろうとした。

「楓」

名前を呼ばれ、動きが止まる。

「三神から、良いもの貰ったんだな」

…え?

私は紙袋に視線を落とすと、ハッとして仁を見た。

…仁はとても、複雑そうな顔。

勘違いされてることに、直ぐに気がついた。

「違うこれは、」

そこまで言って、言葉に詰まった。

まだ言えない。

仁へのプレゼントなんて。

「お幸せに」
「ちょっと仁!」

…仁はさっさと部屋に入っていってしまった。

…なんで、こんなことになったんだろう。

私が言わなかったのが一番の原因。

それは、分かりきっていた。

部屋の中に入るなり、私はその場にしゃがみこんだ。

泣いたって始まらないのはわかってる。

でも、言っても、今は、仁は何も信じてくれない気がした。
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