お前なんか×××!!!
それからクリスマスまで、年末と言うこともあり、私は仕事に没頭した。

同じ部署の仁だけど、顔を合わせても、ほとんど目すら合わせなかった。

もうだめかな。

このまま離れちゃうのかな。

日に日にそんな事を考えてしまっていた。

…そして迎えたクリスマス。

その日も残業だった。仕事が終ったのは午後8時過ぎ。

…オフィスには仁の姿はなく、私は一旦マンションに帰ることにした。

マンションのエントランス。そこで呼び止められた。

「楓ちゃん」
「…三神君?どうしたの?こんなところに」

「いや、今日はクリスマスだろ?これ、楓ちゃんにあげたくてさ」

そう言って、差し出した小さな箱。

…それはきっと指輪だろう。

楓は困惑顔で三神君を見上げる。

「諦めようと何度も思った。でも、二人を見てたら、出来なかった。楓ちゃんを寺崎は幸せにはできないよ。辛い思いばかりさせるアイツには」

そう言うと、私の手のひらに箱を置いた。

「確かに、アイツは、私の疫病神だよ」
「楓ちゃん」

「ずっとずっと苛められて、いい思いなんてしたことなかった。だから逃げ出したのに。それでも気付けば好きになってた。私には寺崎仁、アイツしかいない。アイツしか要らない。だからこれは受け取れない。ごめんね、三神君。ずっと私によくしてくれてたのに」

「わかった…でも、そう簡単に、この思いは消せないから。上手くいかなかったら俺のとこおいでよ。待ってるから」

そう言うと、外に向かってあるきだした。

「寺崎」
「邪魔したな」

そう言うと、顔色一つ変えないで、行ってしまった。

私はそれを追いかけて、同じエレベーターに乗った。
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