お前なんか×××!!!
退院一日目。

楓が忘れてしまったのは、俺の事だけだった。

今までの事は、全て覚えていて、先生いわく、一時的なことだろうということだったので、楓の両親は一緒に俺も連れ帰ってくれた。

退院祝いと称して、楓の自宅で簡単なパーティーがなされた。

…いつも隣にいてくれた楓は、何がなんでも、俺の傍に近寄ろうとすらしなかった。

…楓が、俺を忘れたかったのかもしれない。

そう思った。

今までの行いを考えたら、楓は一つもいいことなんて、無かったに違いない。

…俺は、誰にも気づかれないように、そっと家を抜け出すと、自宅へと帰る。

途中、楓といつも遊んでいた公園のブランコに座って、俺は項垂れた。

もう、傍にいるのはやめたほうがいいのも知れないと思った。

どんなに好きでも、楓が苦しい思いをするなら、俺は黙って身を引こう。

そう考えたら、目の前が涙で歪んだ。


「…独りで何してるの?」


不安そうな声で呟かれ、俺は顔をあげた。

…そこには、いつか俺があげたぬいぐるみを抱き締めて佇む楓の姿があった。
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