お前なんか×××!!!
呆気にとられる俺をよそに、楓は真面目に先生の話に耳を傾けていた。

…楓を観察してると、俺以外の先生や友人たちは、みんな覚えているようで、今まで通りに過ごしている。

忘れているのは、やはり、俺の事だけだった。

…悲しい…辛い…寂しい…

そんな言葉しか思いつかない。

今までは、楓が俺を避けていたのに、今は、俺が楓を避けるようになった。

それなのに、楓は以前とは真逆。

事あるごとに、俺に話しかけてくる。

…一人になりたくて、こっそり屋上で弁当を食べ始めたというのに、

「一緒にご飯食べよ」

なんて、すっげー可愛い笑顔で言うものだから、拒むことすらできない。

「…そこ、座れば?」

ぶっきらぼうにそう答えるのに、楓は、満開に開いた花のような笑顔を見せた。

ヤバい。可愛すぎて、思わす抱き締めてしまいそうだった。

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