お前なんか×××!!!
「…無事か、楓?!」

抱き締める腕に力を込めて、楓に問いかける。

が、おもいっきり楓に頬を叩かれた。

驚いてポカンとしてしまう。

「バカ仁!死にたいの?!私がどんな思いであんたを助けたと思ってんのよ!」

「…楓、今」

また、俺を『仁』て、呼んだ。

「私には仁がいないと」

いないと?








「ちょっと仁。いつまで寝てるの?今日はお出かけする約束だったでしょ?」


その言葉に、俺は目を開けた。



「…夢?」
「なんの?」

目の前には、双子を両手に抱いた楓が不思議そうな顔で、ベッドの中の俺を見下ろしている。

ゆっくりと起き上がると、雷を受け取り抱いた。


「…なんか、変な夢でも見たの?」

楓はベッドの傍らに座り、俺の顔をそっと撫でた。



「楓ってさ」
「…ん?」





「俺の事、昔からずっと好きだった?」
「…なんで?」

楓は俺をずっと煙たがってた。嫌がってた、嫌ってた。



しばらく黙っていた楓が、すくっと立ち上がると。




「…だったら、何?」


顔を真っ赤にして、楓はさっさと寝室を出ていった。





夢の続き。



あんたの事、好きでいられるのなんか、私くらいよ。




彼女はそう言って、そっぽを向いた。


そして間もなくして、彼女は俺の前から姿を消した。





ずっと忘れていた、昔の記憶。





そうか、俺たちはずっと両思いだったんだ。


俺は嬉しくなって、俺に背を向ける楓を後ろから抱き締めた。
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