彼・・・私の天使。
プロポーズされた日
1
天使にそっと抱きしめられ
「これからずっと僕の傍に居てくれるんだね。良かった。ありがとう。すごく嬉しいよ。僕は詩織さん以外考えられないけど、あなたはいいの?」
「私? あなた以外に誰が居るの? 居たら教えて?」
「ダメ! もし居ても絶対に教えない」
私は笑った。
「私があなたの傍に居たいの。分からない?」
「死んでも離さないから覚悟しといてね。絶対離さない……。あっ、そういえば、お腹空いた。お昼食べてなかった」
「えっ? あぁ、私もお昼食べ損なった」
「何か食べに行こうか? そうだ。ちょっと待って」
携帯を出して、どこかに電話して
「いい? ありがと。今から行くから。ハンバーグ食べに行こう。お店、開けてくれるって」
天使と初めて食事したあのお店に着いて
「ちょうど焼きあがったよ」
とマスター。
休憩中のお店は他に誰もいなくて、ゆっくり出来た。
「うん。美味しい。いつもありがとマスター」
「そんなにいつも来てるの?」
「うん。時間外にね」
笑顔のマスターは
「ずっと来てくれてた、お得意さんだからね。まさかこんなに有名になるとは思わなかったけど」
「きょうは大切な人も連れて来たから」
「やっぱりそうだったんだ。女性を連れて来たのは後にも先にも、この人だけだったからね」
「えっ? 覚えていてくださったんですか?」
「美人は一度見たら忘れないから」
「マスターだけだからね。彼女を会わせるの」
「それは光栄だね。あぁ、ちょっと留守番しててくれるか? まあ誰も来ないけど足りない食材買いに行って来るわ」
「いいよ。いってらっしゃい」
マスターはエプロンを外すと風のように出て行った。