彼・・・私の天使。

2


 そこから家に辿り着くまで他愛の無い話で盛り上がっていた。どんな音楽が好きかとか、どんなお笑いがツボかとか。

 知らない人が見たら、まるで仲の良い姉と弟。いや、叔母と甥っ子。どう見えていても、かまわないけれど。

 ふっと無言になっても気まずくない。一緒に居ても楽で、変に気を使わずに自然で居られる。そういう関係って理想なのよね。どうしてなんだろう。

 もしかして前世は親子? 母と息子? そういう感じが一番しっくりくるところが少々悲しいけれど。
 母として息子の幸せを願う気持ちが理解出来ちゃうからなぁ。それはそれで良いかもしれないと思ったりもしてる。

「もうすぐ着きますよ」
 天使の声。

「きょうは、ありがとう。もしかして行き先も決めてくれてたんじゃない?」

「いいえ。ちゃんと予定を決めてた訳じゃないから大丈夫ですよ」

「それならいいけど。何か私が連れ回しちゃったみたいで、ごめんね」

「そんな事ないですよ。楽しかったです」

「私の方こそ楽しかった」

「また、誘っていいですよね」

「いいけど……」

「じゃあ、またメールします。お酒、抜けましたか?」

「えっ? まだ酔ってるみたいに見える? 匂うかなぁ?」
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