彼・・・私の天使。
四十路の恋愛
1
朝、携帯の目覚ましに起こされて……睡眠不足。天使の告白のせいだと思いながら、いつもと同じ出勤支度。
きょうも忙しいんだから。さあ! しっかり仕事をするわよ。
忙しく仕事に集中していれば、天使のことは頭を翳めもしないけど。さすが大人。自画自賛。恋愛沙汰で仕事を疎かには出来ません。
でも車で移動中とか、一人になると天使の顔が、声が……。こんな自分自身に少し困惑してるのも確か。
きょうの仕事も、もうすぐ終わりという時間に着信音。玲子から。
「私、もう仕事終わるんでしょう? 飲みに行かない?」
全く彼女はどうして? って言うくらい、いつも絶妙なタイミングで誘ってくれる。
「いつものお店ね。あと三十分くらいで行けるから」
相談してみようか。こと恋愛に関しては経験豊富な大先輩。
ところで、またきょうも飲むの? アルコール依存症じゃないけれど、飲みたい日もある。
サラリーマンのお父様方の気持ちも分かったりして。
お洒落なワインバーとかも、たまには行ったりするけれど、私たちのいつもの店は居酒屋。落ち着いて飲めるし話も出来るような気がする。私が店に着くと、彼女はもう椅子席に座っていた。
「何にする? 私は生ビールと、あと適当に頼んだけど」
「じゃあ私も生ビールと、お豆腐のサラダは?」
「もう頼んである」
「さすが! で? きょうは何かあったの?」
「何もないわよ」
「良かった。この前みたいなのは勘弁してよね」
「ごめん。反省してる。ん? 化粧品替えた?」
「何で? 替えてないけど」
「きょうキレイよ。う~ん? 怪しいなぁ」
やっぱり彼女には敵わない。